ロシアで熱烈な日本ブームが起きている。首都モスクワではすし屋をはじめとする
日本料理店が500軒を突破。
日本人デザイナーのファッションブランドがロシア女性たちをとりこにし、
日本向けの観光客も急増している。
エネルギー資源の輸出で豊かになったロシア人たちは、
惜しげもなく「日本」にお金を使っている。
ロシア政治の中心、クレムリンからわずか100メートル程度の繁華街にある
日本料理店「銀の瀧」。金曜ともなれば長蛇の列ができる。
「週に1度は来ているわ。スシは健康にいいから」
金融機関で働くオクサーナさんら5人のOLは、カクテルを飲みながら、
すしに舌鼓を打つ。数百人が入れる店内の客は、半数以上が若い女性だ。
≪スシ・モールも開設≫
同店を展開しているのが、レストラン経営大手の、VCIグループ。
同社は1995年に日本食レストラン「フジ」をオープン。
98年には「ヤキトリヤ」、2000年には「銀の瀧」を相次いで開設した。
90年代前半まで、日本食レストランといえば、一部の特権階級しか軒をくぐれない
高級店の代名詞だったが、増加してきた中堅富裕層をターゲットに客単価が
25〜35ドル(約2950〜4130円)になる比較的安い料金のメニューをそろえた。
これが、可処分所得の増加とともに健康志向を高めるロシア人から
熱烈な支持を受けた。
ロシアでの日本食ブームの立役者といえるのが、VCIで総合アドバイザーを務める
日本人、黒川勉さん(51)だ。千葉県の出身。
すし職人となり、ニューヨークやロンドンで日本料理店を手がけてきた。
4年前にVCIの招きで訪露。日本料理に現地の味を取り入れる創作料理
「フュージョン料理」で若いモスクワっ子の心をとらえてきた。
黒川さんは、「多くのロシア人にとって、日本食を食べるのはファッショナブルな行為。
すしだけでなく、今後は日本酒もブームになるでしょう」と話す。
VCIは、来年2月にはモスクワ市内に日本食材や食器などを専門に扱う商業施設
「スシ・モール」を開設する計画まであるという。
日本食に魅せられ、自らの手で日本食レストランの経営に乗り出したロシア人もいる。
人気チェーン店「タヌキ」を展開するライト・ライフの社長アレクサンドル・オルロフさんだ。
「毎週、500ドル(約5万8500円)払って日本食を食べ続け、研究を重ねた」という。
92年、20歳のビジネスマンだったオルロフさんは、日本食との出合いに衝撃を受け、
レストラン開業を決意。
他の料理人たちを引き連れて日本の著名料理学校で技術を身につけた。
モスクワ市内のタヌキは現在12店舗にまで増え、シベリアや中央ロシアへの出店も
検討している。
≪“知的なモード”≫
ファッション分野でも、日本はフランスやイタリアに劣らぬ「高級ブランドの国」だ。
モスクワ中心部の高級ブティック「レ・フォルム」の売れ筋商品は日本のファッション
デザイナーが設立したブランド「コムデギャルソン」の衣料品や香水だ。
ソ連崩壊後、「アルマーニ」や「ベルサーチ」などのブランドがロシアに流入するなか
同店のオーナーはパリで見た日本人デザイナーの作風に魅了され、
日本ブランドの取り扱いを始めたという。
同店の広報担当の女性、マリーナ・ラージナさんは「日本のデザインは、いわば
“知的なモード”。
それが、ファッションでも自己主張をはじめたロシア人の心をとらえた」と解説する。
衣食以外の分野でも、日本製文房具や梅酒が飛ぶように売れ、テレビでは
連日のように、相撲や温泉などの日本文化を紹介する番組が放映されるなど、
日本ブームはとどまるところを知らない。
◇
■「神秘性」「高品質」に憧れ 10年以上…「一過性ではない」
≪ミステリアスな国≫
なぜ今、日本ブームなのか。
「ソ連時代から東の果てにあるミステリアスな国として、日本へのロシア人の興味は
極めて高かった」
こう指摘するのは、日本や中国向けの旅行代理店オリエンタル・ディスカバリーの
リュドミラ・ナリジュナヤさんだ。
同社を通じて日本へのツアーを申し込むロシア人観光客はここ数年、
前年比3割増のペースで増え、昨年は約1000人に達した。
旅行者の多くは30〜40歳で、ソ連崩壊後に社会に出た若者が中心。
かつては物価が高い日本向け観光は夢のまた夢だったが、最近の経済成長を背景に
夢を実現できるゆとりが生まれた。
都市部の住民を中心としてロシア人のライフスタイルに日本の文化や製品が
次々に浸透している一つの理由が、この経済力の変化にあることは明らかだ。
極東のミステリアスな国、というイメージと、日本製品の高い品質が、ロシア人の
日本信仰の底流を流れている。
北方領土問題をはじめとする両国間の政治問題の影響は日本ブームに
何の影響も与えていないように見える。
≪中国がライバル≫
ただ、その日本ブームにも強力なライバルが出現した。
同じ東洋文化圏の中国だ。日本を含む世界各国の企業PRを手がける
ポイント・パッサートのユーリア・ストノーギナ社長は
「今の日本ブームを特に牽引(けんいん)しているのがテレビ報道。
しかし中国の対露投資が増加し中国への関心が高まれば、
テレビも中国報道にシフトするだろう」と予測する。
中国企業がロシアの主要都市で相次いで大型の開発計画を発表するなか、
中国への関心が高まり、相対的に日本ブームは徐々に冷却するというのだ。
事実、中国向け旅行者の増加ペースは日本向けを大きく上回っているという。
ブームが終わるとなると、日本人としては寂しい限りだが、ポイント・パッサートの
ストノーギナさんは「日本ブームは10年以上にわたり続いている。
決して一過性ではない」と断言する。
日本文化は、すでにロシア人の生活にとって、なくてはならないものになっている
というわけだ。
VCIの黒川さんは、自らの成功体験を通し
「ロシアでは築地のすしは売れません」と指摘する。
通常のすしメニューに加え、彩りが鮮やかなすしや、生魚が苦手な客のため、
すしをフライにした料理などロシア人好みの品ぞろえが、
ロシア人からの支持につながったとみている。
このように、日本文化は海外に浸透する過程で、少しずつ姿を変えつつある。
日本ブームは、日本人の知らないさまざまな「日本」を生み出していくのかもしれない。
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